『ドリーム』観てきた

 タイトルで一悶着あった『ドリーム (原題: Hidden Figures)』を観る。建前上の平等はあれど差別意識が色濃く残る60年代での、3人の女性のマーキュリー計画での活躍を描いた作品である。

 本作においていくつものエピソードで描かれるように、差別はする側からは見えにくい。必ずしも悪意はなくとも、それが固定観念としてこびりついてしまう。それを取り払うには大きな勇気と地道な努力が必要なのだ。

 そのあたり本作が心地よいのは、道徳的な観念に頼るのではなく己が持つ才能と機転によって道を切り開いていく物語だからだ。(今の価値観で昔を評価する系の道徳話ってあんまり筋が良いとは思えないのだ。)徹底した実利実力主義は差別を超えるのだ。

 そんなわけである程度面白かったは面白かったんだけど、一方で各エピソードが結末の一本の線に収束していく感じでもなく、特にワクワクする展開があるでもなく、あまり物語としての美感は感じられなかった。評判にはいささかのヨイショが入っていると思ってしまったのが正直なところ。

ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)

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